| 空港ロビーでは、女性の現地係員さんが出迎えてくれ、明日予定しているアンツアーのオプションにも参加するだろう人たちとともに、小型バスでホテルに向かった。プリンスエドワードホテルは島の中心部にあった。この島では唯一の10階建てのゴージャスなホテルだった。外装は、やはりプリンスエドワード島だからかカントリー風な赤レンガ色をしていた。部屋に入ると、まずは二人ともくつろいだ。日本と違って、靴があまり脱ぐことができないので、ベッドの上に横になれる瞬間が最高だ!私と友人は一息つくと、PEI(Prince
Edward Island)での貴重な時間を無駄にしたくはないので、少し外へ出てみた。
シャーロットタウンの街は郊外と言う感じで、人通りも少なく引ったくりの危険さえ感じなかった。が、近くの店はほとんど閉まっている。センター街があるはずなのに、なぜかすべてが閉まっている。あれ?と二人で良く考えてみたら、今日は日曜日だった。納得…がしかし、今晩の夕食はどうしよう。朝はハンバーガー、昼は機内食でなんとかなった。でも夕食は…まさか、抜くわけにもいくまい。既にお腹からの信号も来ているのだから。
とにかく開いているお店を探そうと少し冒険する。ホテルはこの辺では大きな建物だったので、まず見失う心配はなかったが、それでも迷子にならないように、来た道を振り返りつつお店を探して歩いた。
かれこれ、30分ほど歩いただろうか。
ふと、ファーストフード系の小さなお店を発見した。店の中からほんのりポテトの香りがする。よし、ここなら大丈夫。法外な値段をとられることはないだろう。かくて私たちは、初めての試みをした。
店内に入ると、ふっくらとした肉付きのいい中年のおじさんがポテトを揚げていた。私たちに気づくと、「Hello!」と声をかけてくれた。店内には、あと一人もうすでに買い物を済ませたらしいおじさんもいる。きっと、近所の人なのだろう。二人は、楽しそうに世間話でもしているようだった。私たちも少々怖じ気つつ、「Hello!」と言葉を返す。客のおじさんは、私たちを見てにこにこしている。お店の人と私たちのことを何か言っているようだ。が、私たちにはJapaneseしか聞き取れなかった。さてと、メニューはどれにしようか。とりあえず無難なものにしておこう。《Fish
& Chips》…以前にラジオの英会話講座でカナダにはこんな名前の食べ物がある、と言うダイアログがあったのを思い出した。「よし、一度トライしてみよう」メニューを指差し、片言で「
Fish and Chips, please」と言った。「OK!」なんとか伝わったようだ。ひとまずホッとしていたが、出来上がっていく量があまりにも多そうだったので、一つだけ注文することにした。私たちはスプーンとフォークを二つ付けて欲しいと言いたかったのだが、いい英文が浮かばず何回か単語を並べてしゃべってみたが、なかなかうまく伝わらない。
結局うまく言えずに、1つしかもらえなかった。これ以上何か言ったとしてもかえって店員さんを混乱させるだけなので、「Thank
you. Bye!」と言って店を出た。とりあえず夕食は確保できたので、良しとしよう。二人で順番に食べればいいのだから。明日はいよいよ『赤毛のアン』の舞台を見ることができる。アヴォンリーへついに!
翌朝8時、アンツアーはホテルの前から出発する。メンバーは私たちと同年代くらいの女の子ばかりで、もちろんアンファンばかりだった。10人くらいで多いなあと思ったが、夏のベストシーズンには30人にもなるらしい。
シャーロットタウンからバスで30分。キャベンディッシュの村に入ると、かわいい家がちらほら見え始めた。物語の舞台アヴォンリーとは、架空の村で実際はキャベンディッシュだと言われている。最初は、モンゴメリの墓地。夫、ユーアン・マクドナルド氏とともに眠っている。墓地の中でもやはりマクドナルド夫妻の墓は、既に観光用になっているのか、他のお墓とは違い、まるで小さな花時計のように様々なカラーの花で、飾ってあった。次はモンゴメリが働いていた郵便局。白地のぬり壁にターコイズブルー(青緑色)のドアと窓枠。どのカラーも、はっきりした明るい色ばかりだった。そのせいかただの郵便局もなぜか絵になる。夏のベストシーズンなら、ここから実際に郵便物が出せるのだが、10月の現在は閉鎖中で残念だった。
いよいよアンの家の舞台。緑の切妻屋根の家(green
gables)は、小高い丘の上にあった。この家も郵便局と同じく白地にターコイズブルーのドア。ここでは、一時間の自由時間が設けられていた。私はカメラを片手に友人と赤毛のアンの舞台を満喫した。家の内装は、アンのストーリーに出てくるシーンを再現したり、19世紀後半の物語の時代の生活風景をも再現していた。まさに観光用に作られた家である。またアンの名づけた「恋人の小径」ではちょっとポーズを決めて、写真をとりあいっこした。自由時間はあっという間に過ぎる。
昼食は、カナダ名産、ロブスター。しかしあまり空腹でなかった私は、とりあえず全部食べることだけ考えていて味の善し悪しを感じる余裕がなかった。
食後はまず、モンゴメリの生家へ行く。ここもターコイズブルーのドア。プリンスエドワード島では、明るくてはっきりした緑や青色を家のカラーにしているところが多いようだ。また島の家は、日本から見ればとてもコンパクトだ。庭が広く外からすぐ見えて、これは「見せるための庭」らしい。反面、
家の階段は幅が狭すぎて上りにくい。つづいて「銀の森の屋敷」へ着いた。ここも、もちろんターコイズブルーのドアであった。この家は博物館になっていて、モンゴメリの親族の方が住んでおられるという。以前にPEIの本で見た人が目の前にいるのは、大変な驚きでもあった。私たちが訪れた時には、ちょうど日本人のカップルが結婚式を挙げていた。庭にはブランコもあり試しに乗ってみたが、座る部分がゴムのタイヤのようで座りにくい。腰掛けて優雅にブランコと言う感じではなく、落っことされないように必死に手で捕まりつつと言う格好だった。ふと、目の周りに小さな虫がぶんぶん飛んでいる。そういえば秋なのになぜか虫が多いような気がする。カナダでは、夏の間の方が相当な虫の数になるらしい。バスは沿岸を走る。そろそろ今日の日程も終わりに近づいた。車窓から見える景色は、絵の具の青色と同じでまるで絵画のようだった。赤土も随所に見られる。これは、鉄分を含んでいるかららしい。「ああ、本当に夢見ていたプリンスエドワード島に今来ているのだ」改めて感動する。この時間を大切に閉まっておきたいと思う。日本とちょうど半日時差があるというが、同じ地球の上にいる気がしない。日本にいるみんなはどうしているのだろうか?
オプションは夕方に終わったので、少し散歩と買い物を兼ねて出かけた。キャベンディッシュと違って、ここシャーロットタウンは、あのかわいい家があまりなく、残念である。今日はコンフェレデーションセンター街も開いていた。ジャムに紅茶にパッチワークキルトなど、見ているとあれもこれも欲しくなってしまう。みんなへのお土産も買わなくては。家族に友に知人へと。友人に呆れ返られながら。
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